草木染めを通して想うこと

こうやって草木染めをやってみようと思う以前に感じていた草木染めへの印象は、なんとなくぱっとしないものでした。なんだかはっきりしないぼんやりとした色だし、色落ちしやすいお金をかけずになんとかやってやろうみたいな感じなのかなという(もう少し上手な言い方があるはずなのですが…)マイナスなイメージが先行していました。しかし、実際にやってみるとその考えは完全に払拭されました。

 
「はっきりしない色」というのは完全に間違いです。優しい色ではありますが、手法や材料によってこんなに鮮やかな色が出せるのかと感動するくらい素敵な色が出ます。

お金をかけずになんとか…というのもちょっと違います。確かに身近な植物を煮染めるだけなら安上がりなのですが(笑)、よりきれいな色を出そうと考えれば考えるほど、そんなに簡単なものでもなく。お金云々では解決できない手間もかかります。

色素を抽出をしてから媒染剤に浸漬、染色液に戻す…ということを繰り返しながら色が創られていきます。物によっては数日かけることも実際にします。手間を惜しまず染め上がった布たちは、本当にわが子のように愛おしくなるので不思議です。

合成染料は安価で容易に手に入ります。染色自体がとても簡単ですし、濃く染めることも短時間でできます。

なのになぜ草木染めにこだわるのか。何がなんでも身の周りのものはエシカル消費にこだわりたいというわけでもないですし、むしろそれはケース・バイ・ケースでエシカルでないものを選択せざるを得ない場合もあると思うのです。

合成染料に対する頑な意地というわけでもないですし、それはもう自分の手で物を創り上げていくという楽しさから沸き上がる気持ちとしか言いようがないです。服を縫うのであれば、いっそのこと染めることも自分でやってみたいという単純な欲求からです。結果的に自然の恵みを頂いて暮らしの中に役立てていけるのなら、こんなに素晴らしいことはないと思うのです。

残念ながら自分で糸を紡ぎ、布を織るということは今の私にはできませんが、将来、そういうことも体験できたらいいなと思っています。

同じ材料で染めても、濃さをどう表現するか、色を左右する媒染剤をどう扱っていくかなど染める人の選択によって出来上がりがまったく違うのも魅力です。私にとっては、絵を描くのと全く同じ感覚なのです。プロの方からみたら全然ダメな染めかもしれないけれど、それはそれで自然の力を借りて自分を表現できているのならいいのかな…と思っています。

これからどんな色を創りだせるのかと考えるとわくわくします。最低限自分の中で決めているルール(廃液のpHに気をつけること、媒染に重金属を使用しないことなどなど)を守りながら今後とも楽しみながら勉強していこうと思います。

冒頭の画像は、沖縄・今帰仁にある魂喜村で撮影しました。朝露がキラキラしていてとてもきれいでした。私が草木染に使っている月桃の故郷です。

 

 

 

 

 

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ABOUTこの記事をかいた人

福岡県出身、山口県在住。時々沖縄にふらり。 キッチンや庭でひそかに行うゆるゆる草木染め実験も大好きです。