立ち止まって考えてみた、作り手としての悩み

去年の秋から冬にかけては、初イベント出店を目標に毎日針仕事にいそしむ毎日でしたが、12月にそのイベントも無事に終わってから、針を持つ時間がめっきり減ってしまいました。燃え尽き症候群とかそういうのではないんです(苦笑)、確かにイベント直前は寝る時間も削るくらい急ピッチな作業をしていましたが、他の仕事もあるので燃え尽き果ててしまうほど針仕事だけをしているわけでもないので、燃え尽きてはいません。

決して布しごとのことを嫌いになってミシンの前に座りたくないわけではないのです。むしろ、次はどんな作品を出そうかな…と考えている時間はものすごく多いです。何かを作りたい、でも、手が進まない…この状態が苦しいので、一作り手として抱える内面のことについて、立ち止まって色々考えてみました。

何を前面に出して自分の作品を作りたいのか

自分が表現したいものは一体なんなのか

いつかオンラインで自分の作品を売ってみたい…と思い始めてから勇気が出ずにいたのですが、この年末にようやくminneをはじめとしていくつかのハンドメイトサイトに登録して出品しています。ここで私の作品が売れる売れないという現実的な話は置いておいて(苦笑)、他の出品者さんの描いている独自の世界に圧倒されています。

「売れている人がどういうことをしているのか観察して真似してみよう」的なことがインターネット上には書かれてあります。写真の撮り方や自己紹介文の書き方までたくさんのことがアドバイスされているので、私も技術的なことは参考にさせてもらったりしています(^^♪

でも、作家さんの独自の世界って、その人にしか創り上げることができないので、真似とかそういうことは決してできないものです。

そんなことを考えた時、私にしか出来ないことや、表現したいことが本当は一体なんなのか…と思うと、針が進まなくなってしまったのです。
「正月のまとまった休みにどんな作品を作ろうかな」と年末にはあんなに楽しみにしていたのに、実際に休みの間にできたことは、ブログの技術的なメンテナンスと、手元にある作品の写真撮影だけ…。

他の人の作品を差別化したいところを確認する

正直、私は布仕事に関してはパターンが引けたり、根本のところから設計ができるわけではありません。もちろんサイズ変更や、これをこういう風に変えて…というある程度の範囲ではできますが、全てをオリジナルの形からというのは難しいです。
ですので、これをさらに市販の布を使って作るだけだと…

それじゃ、「自分らしさ」ゼロやないと~!?

これでは、作り手は私でなく他の誰も良くなるわけです…切ないですね…私が目指しているのは市販の布を単に別の形に変えることではありません。

ここのところをものすごく掘り下げて、自分の中で反すうしながら考えた数週間でした。何が自分でやりたいのか、そのために何が足りないのかということが、分かりそうで分からない感じは非常に気持ちが悪かったです。背中がかゆいけど、いざ掻いたらピンポイントな痒い場所が分からないみたいな…(違)

私は、煮詰まると本屋に行く機会が無意識に増えます。心が答えを探している時なのだと思います。特にお目当てのものがない時に本屋に行くと、私の無意識スイッチがオンになるので自分が本当に何を欲しているのか気づくことがあります。ダウンジングみたいですねぇ(困)

気づいたのが、自分がいつも刺繍本コーナーと美術本コーナーをぐるぐる回っているということ。多分これだ!と思いました。見たもの、感じたものを刺繍にして布の上に表現したいのだけれど、絵心がないために実物を線画に興せない。だからフリーハンドで描ける程度の簡単なモチーフに逃げてばっかりで、そこから先に進めなくなっているのかも…と。

そこで、知り合いでプロの画家さんに自分の話を思い切って話すことにしました。実物を線に興せないことと、刺繍の図案本を見て描いてしまうとその人の真似になってしまうような気がして、出来るだけ見ないようにしている…ということです。すると、意外な言葉が返って来たのです。

腑に落ちた答え

返ってきた回答はこんな感じでした。

実物の線をそのままデザインにすることはプロでも難しいこと。
デッサンを繰り返して繰り返して、自分の中に落とし込んでいって、初めてデザインとして昇華させること。
↑ある意味このことが職人技でもあり、アーティストとしての技量の発揮どころ。
また、こんなこともおっしゃってました。
一番の近道は、好きな作家のものを取り入れるようにして自分の出したいものをデザインすることかも。真似だとしても自分の形に変えてしまうということ…
えええっ?!これにはびっくり。真似になりそうだし作風が引っ張られそうな先入観があり、刺繍本を見て刺繍をすることはタブーだと思ってきたのです。
しかし、そうでなく、好きな作家さんの刺繍をそのままトレースして完コピ刺繍するのでなく、リスペクトしつつ自分の作風に取り込んで、自分の表現したいものを内側から表現できるようになるまで持っていくまでが職人技、ってことかな。

 

刺繍本を見る≠トレース&完コピ刺繍 (著作権的にもどうかと…)
刺繍本を見る≒リスペクト&自分の中に落とし込んで、自分のものにする

上の二つは似て非なるもの…この答えを得られて、本当にすっきりしました。前に進めました。

とにかくセンスと時間のかかる作業なので本気度で成果も出てくるものだと思います。その道の人なら何年もそういうことをやって腕を上げていると思います。気長に取り組んでいきましょう。

有り難きお言葉、ありがとうございます!!確かに一朝一夕では成就しないですよね。作業的に作品を作るのではなく、もっと掘り下げて表現していきたいという気持ちが強すぎて、私、とっても焦りすぎていました。

まとめ

引っかかっているものの正体が分かると、楽になりました。

参考にする本を無理に見ないようにするのではなく、良く見て、あくまでも「取り入れるようにして」自分の形に変えてしまうということ。そして何よりも大好きな作家さんをリスペクトする!これです。一つの作品を作るだけで、たくさんの感情が出てきます。でも、一つ一つ大切にしながら進んでいきます。

そげん焦らんで、気長に頑張りーね!minneもいつか売れるとよかね~
                 !!!

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ABOUTこの記事をかいた人

福岡県出身、山口県在住。時々沖縄にふらり。 キッチンや庭でひそかに行うゆるゆる草木染め実験も大好きです。