残念ながら、藍の葉から染料の成分を取り出した藍色の状態のままでは布は染まりません。なので、泥藍に手を突っ込んでも、しばらくするときれいに流れてしまいます。理由はこちらの記事から↓
泥藍が藍色に見える理由である物質「インジゴ」を還元させて、水に溶ける状態(ロイコ体)にしなければ、布は染まりません。手が青くなる時は、葉っぱを水に漬けこんで発酵した状態の時と、泥藍を還元させて水に溶ける状態にした時なのです。
還元するために、私たちの周囲にいる還元菌をうまく呼び込んで手伝ってもらうのですが、その時にエサになるのが、泡盛とはちみつです。
菌ちゃんを育て、藍を染められる状態でキープするために頑張ってもらっているので、藍は生き物でデリケートだというのは本当に正しいのだと思います。
みんな笑顔のインド藍
今回は、インド藍を建ててみます。この藍は、カンボジアの内戦で失われかけた藍染めの復興支援の活動の結果でき上がったのだそう。誰も犠牲にならない手しごとを、という私の想いと通ずるところがあり、使わせていただいています。
私がこの藍を使うことで、作り手のカンボジアの女性たちも、私も幸せです^^
という理由で、飛行機に乗り、遠路はるばるやってきた藍なのです。ちょっと香りは違いますが、含藍(がんらん)植物であることは変わらないので、建てる方法は一緒です。
初の試み。採蜜残りを使ってみる
藍を建てるのにはちみつを使うと書きましたが、はちみつと言えば、私、一つ気になっていたことがあるのです。
ちょっと藍染めの話から遠ざかりますがご了承を。
蜂の巣箱から採蜜し、まずは垂れ蜜を瓶に詰めます。それから巣を絞って自家消費用としているのですが、この中にまだ残っているはちみつがもったいなくて仕方ないのです。
結構力を入れて絞りますが、さらさら蜜の時はまだしも、蜜によっては巣の中でかなり結晶化しているものあり、どうやっても絞り切れないままなのです。
この唐揚げみたいな絞りかすから蜜ろうを取り出すのですが、これを不織布の袋に入れ、沸騰しないくらいの温度をキープした鍋に入れますと、蜜ろうだけが水面に浮きます。固形のかすは袋に残り、はちみつと花粉のいくらかが水中に残ります。
蜜ろうは回収、固形かすは畑に戻し…問題はこの水なのです。結構な量のはちみつが溶けているので、粘度もそれなりに高いですし、舐めるとめちゃくちゃ甘いです。糖度を測定したらそこそこあるのではないでしょうか。
一回手を入れているので蜂たちにお返しするのも何となく嫌ですし、かと言って食用にもできない…
そこで、今回、このはちみつの溶けた水を藍建ての際の糖分として使えないか、と思った次第です。
花粉を含んでいるので見た目は良くないですが、香りははちみつと黒糖の中間くらい。こう見えて結構甘いです。これを泡盛と一緒に藍建ての容器に仕込んでみます。
ちゃんと藍の華ができ始めています!空気に触れる水面の藍色も深くてきれいです。
排水溝に流してしまえば、もうここに戻ってくることはない「残りもの」だけど、ここで蜂たちの努力と藍が繋がった瞬間です。
だって、一匹の蜂が生涯に集めるはちみつは、たったスプーン一杯なんです。できれば一滴も無駄にしたくないです。
それが、藍の中で生き続けて、色が糸に移る。素晴らしいことだと思います。
藍が染められる状態になるまでもう数日かかりそうですが、今から本当に楽しみです。どんな色になるのかな。
ちなみに、この蜜入りの水は容器に入れて冷蔵庫に保存しています。これだけ糖度が高そうな場合は問題ないのですが、あまり糖度が高くない状態で長期間置くと、発酵し、やがてはちみつ酒っぽくなるので注意が必要です。一回やらかしました。
家族には「冷蔵庫はこのはちみつ残り水がストックされてるし、冷凍庫は染めに使う植物でいっぱいじゃん!!どうにかしてくれ」と不評なので、できれば私専用の冷蔵庫が欲しいところです…
それと、もし夢が叶うなら、ちゃんとした藍専用の作業場が欲しい!庭にタープテントを建てて夏季限定特設会場を設けていますが、小さなスペースで刈り入れた藍を仕込み、その横で沈殿・ろ過し、後ろを向いて藍建てをするって結構カオスなんですよ(苦笑)
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