天然染料の染色を学んできました。

どの本を参考にしても納得いかなかった、植物を使った染色方法…

ここ数年、身近な植物を使った染色に非常に興味を持ち、実際に染めたりもしていたのですが…自分の中でどうもしっくりいかない部分があり悶々としていました。

「草木染め」の方法を示した本は多くあれど、なんでそういう発色や色の定着が起こるのか…などを具体的、科学的に説明した本が皆無に近いのです。探そうとしてネットをさまようと、えらく難しい文献にぶち当たってしまい断念、というのが毎回のパターンです。

「本に書いてある通りにやって布は染められたし。まぁまぁきれいな色になったね」で納得できるといいのですが、その理由の科学的な根拠までをきちんと知っておきたい。これに関しては、とことん納得のいくまで理解したいと思っていました。たいていのことは「なんとなくでいいよ~」と思って生きている人間なのですが(笑)。

先日、たまたまこの本を手に取りました。

天然染料の科学 天然色工房tezomeya・青木正明著 (日刊工業新聞社)

天然染料の特徴について、科学的な側面から丁寧に説明されています。と書くと、なにやらものすごく難しそうな本なのか?と思われるかもしれませんが、大昔から日本や世界で行われてきた染色方法や知識などがおもしろく盛り込まれてあり、私は何年もこんな本を探していたの!!と嬉しくなりました。

著者に会いに行く

この本を読んで、あまりにも衝撃を受けた私。なんとなく染めていたけれど、これらの手順が化学式できちんと説明できるのだ…ということに感動を覚え、私はこの本の著者に会いたくなりました。

著者は天然色工房tezomeyaの店主。天然染料のみで染めたアウターウェアブランドを立ち上げられており、実店舗は京都にあります。

天然色工房tezomeya

素敵だなと思ったのが、科学的な側面と古文献の研究から裏付けられるものの両方から染色手法を確立なさっていること。

今回、一日かけて本格的にじっくり染色技術を学ぶことのできるコースで学ぶことが出来るということで、京都まで行って来ました。

かわいらしいお店の中の一画に、実際に染めの工程が行われている場所があります。

気難しい店主さんだったらどうしよう…とちょっとドキドキしていたのですが、とても笑顔が素敵で、一安心しました。

長年の疑問がいろいろ解決

作業に入る前に、まずは染めるアイテムと、原料を自分で決めます。染め方が特殊な原料もありますので、今回の工程に向くもの、向かないものは店主が丁寧に説明してくださいました。

私は手持ちのフレンチリネンと、オーガニックコットンの刺繍糸、そしてtezomeyaさんで販売されている染色前のオーガニックコットンのTシャツを染めることにしました。

色は…お店に並んでいる色がどれも素敵で本当に悩みましたが、前から気になっていたインド茜を選びました。

どれも素敵な色です!!

染めの工程を丁寧に教えていただきながら感じたことは、私が染めていたこれまでの方法では、ムラなく染めることは絶対無理だろうな…ということです(泣)

プロの方が、どれだけの手間と時間をかけて丁寧に染め上げているのか…

なぜムラだらけで、しかも濃く染まらないか、その理由もしっかり分かりました。

私が、適当すぎたからです!!

今回の作業では、作業前から全工程に必要な染料、水の分量など細かいところまで記録しました。これは、次に染めようとする時に同じ色を再現するための記録なのだそう。これは化学実験にも通じることですが、日々の染色の工程において、基本的で大切なことです。

染料を煮出す作業時間、静置時間、媒染時間、じっくり丁寧に行います。私の適当に煮出して、適当に媒染して終了する作業は一体なんだったのでしょう…と衝撃を受けました。これが自分の想うように染められない一番の原因だったのだと気づきました。

「草木染め」は淡い色でなんとなく頼りなさげな感じ…という私の勝手なイメージでしたが、染め上がったアイテムを見てビックリ。

淡い色にしか染まらない…そんなことはありませんでした!丁寧な作業で、こんなに鮮やかな色になりました。

また、実はきれいに洗浄・精錬された繊維より、加工していない繊維を湯通しした状態で染めるほうが濃く染まるそうです。いわゆる「不純物」があったほうが、色素がくっつきやすい状態になるのだそう。

 

上の二つ、写真ではあまり色に差異がないように見えますが、実物は下のオーガニックコットンのTシャツのほうがだいぶん濃く染まっています。

実際に、湯通ししようと思った時、このTシャツは水をはじいてなかなか浸透してくれませんでした。コットンの油分すらそのまま残っているという証拠です。

一般に染める前は布(糸)を洗剤で良く洗ってください、と説明されていたりもするのですが、60℃くらいの湯で糸に付着する油分(蝋分)を柔らかくしてから、そのまま染めるほうが都合がいいのだそう。

自分で棉を栽培している私にとっては願ったり叶ったりです!!

実際、今回の染色には濃染処理はしていません。濃染処理と言えば、絹などタンパク質を持つ素材と比較し、綿や麻は染まりにくいため、呉汁(大豆の力を借りる)等を使って人為的にたんぱく質を付着させる方法が有名ですが、今回はその工程は行わず、原料を煮出すことを三回繰り返し、濃い染液を作ることでこの鮮やかな色を出すことができました。

また、発色を良くし、定着を促す工程として媒染が必要です。金属を含むみょうばん、木酢酸鉄などが良く使われますが、これに関する長年の疑問にも丁寧に答えてくださいました。

金属を含むというと、なんとなくその廃液を流すことに抵抗があるのですが、考えてみれば土壌、海水にも少なからず様々な形で金属は含まれています。私たちの身体中にだって含まれています。

椿の生葉から作られる貴重な椿灰も、椿が土壌中のアルミニウムを集める習性があることをうまく利用した媒染剤ですし(これを発見した人はすごいと思う!)、温泉から取り出すみょうばんが昔から使われていたことなどから、やみくもに金属=悪と決めつけず、それぞれの特性などをよく理解して使用することが賢明だと感じました。

どうしてもイメージが先行してしまいますが、決して金属自体が環境に悪いものばかりではないということを念頭に置きつつ、使用量や頻度を良く考えながら、自分が使うもの、この先も使わないな~というものを精査していきます。

と、京都は少々遠い道のりでしたが、思い切って学んできて良かったと思います。もちろん、たった一日の勉強ですべてのことが習得できるとは思っていません。

しかし、次の高みを目指すために必要なことでした。ますます自然の中で布しごとをしたくなりました。

☆追記☆

店内にディスプレイされていたこのかわいいぬいぐるみは、天然素材にこだわり、ひとつひとつ丁寧に作られている「ぬくぐるみ工房」さんのものです。

天然素材のぬいぐるみ「ぬくぐるみ工房」

このぬいぐるみたちの材料の染色を手掛けていらっしゃるのが、tezomeyaさんなのだそう。ほんわかして、とってもかわいいです♪

私が使っているオーガニックコットンの刺繍糸も、ぬくぐるみ工房さんのものなので、この偶然にちょっとびっくりしました!いろんなところで繋がっているものなのですね^^

ゆるゆると、自然の中で布に関わる手仕事について綴るブログです。

自分の中にあった溢れる好奇心と、「自分の居場所を見つけたい…」という想いから始めました。
たくさんの方と想いを共感できると嬉しく思います。

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ABOUTこの記事をかいた人

福岡県出身、山口県在住。時々沖縄にふらり。 キッチンや庭でひそかに行うゆるゆる草木染め実験も大好きです。