収穫の秋。残暑が厳しいと思われた今年の夏は意外にもあっさりと終わり、店頭には秋の味覚が並び始めました。
栗ご飯を作ろうと思った時に、鬼皮を捨ててしまうのはなんだかもったいない気がしたので、昔買ったまま未使用だった帆布を染めてみました。
帆布(はんぷ)
近代までの物資輸送のための大型船は、帆を張って風を受けて進む帆船が一般的であった。その帆に使うための、厚手で丈夫な布として作られたのが始まりである。
現在ではカバン、靴、襦袢に付ける衿芯、丸帯・名古屋帯等の帯芯、相撲の廻し、油絵用のキャンバス、テントの天幕など建築材料、各種幌、競走馬用のゼッケン等に使われる。
帆布は、より合わせの回数や、織り方の密度によって、1号から11号の厚さに分けられる。1号が最も厚手で、11号が最も薄い。
いつも通りに煮て、濾しますが栗は結構濃い色が抽出できます。Wikipediaでは1号から11号の厚さに分けられる…と書かれていますが、今回染める手持ちの帆布は10号より薄いと思われます。購入した当時は気にしてなかったので詳しいことは不明です。いつもはリネンや薄手のコットンなどを染めていますが、帆布ほど厚い生地を染めるのは初めてのことです。
硬い生地なので鍋の中で折り畳むことも容易ではなく、かと言って折り目を気にして布をロールするだけでは鍋に収まり切れず、布を染液に完全に浸すことがとても難しかったです。厚い生地を染める時はムラができやすいので注意が必要です。折り目に当たる部分がうまく染まらないのです。染める時だけでなく、豆汁(ごじる)を使って濃染処理をする際も同様に注意が必要です。布が厚ければ厚いほど均一に豆汁をいき渡らせることが難しくなります。今回は帆布の扱いが初めてでしたので、濃染処理は行っていません。
こちらが染め上がった帆布です。左から元々の色、ミョウバン媒染、そして明礬温泉の湯の花媒染です。これほど色が違うと圧巻です。ミョウバン媒染は染液の色にかなり近いと思います。
白い刺繍糸も、この通りきれいに染まりました。しかし、今まで帆布を縫ったことがないのがちょっと不安で、果たして私の技術で縫えるかどうか…。糸も針も通常使っているものではダメなのだそう。
厚手の生地(デニムなど)を細い針(9 ~ 11 番)でぬわないでください。針が折れたり曲がったりしてけがをするおそれがあります
ミシンメーカーの説明にもこう記されています。今回は14号のミシン針、ミシン糸は30番を使用しました。今回、ミシンの針を交換することも初めてで、どこのネジを緩めたらどこが外れるのかよく分からなかったけれど、ネットで検索しながらなんとか交換完了です。無知って本当に怖い!!
一応形になりました!帆布のトートバッグ。お弁当を入れるのにちょうどいいサイズです。帆布の中でも薄いほうでしたので、重ねた部分もゆっくり焦らず針を進めれば針目も飛ばずに縫えました。針目は普段より若干広い2.8mmにしています。ポケット部分の刺繍も、この時栗で染めた糸を使用しています。
本来捨てていた煮汁でこんなに素敵な色を頂けました。自然に感謝です。
INDIGO DROPSをフォロー