泥藍作り ~インジゴだけを取り出すことの難しさ~

大変だった今年の藍の生長

今年は災害続きで、日本全国が大変な夏でした。西日本豪雨災害の時は、こちらの地域もエリアメールが鳴りっぱなしでした。しかし、その後は一転、全くと言っていいほど雨が降らず…8月にいたっては夕立はおろか、記憶では大地を湿らせる程度の少しの雨がたったの一回降っただけの夏でした。

気温35℃ではもはや驚かなくなっている自分にびっくりです。感覚が完全に麻痺した夏でした。

畑に植えた藍の苗も、どんどん枯れていきました。強い植物とはいえ、乾燥は得意ではない植物です。畑仕事はあまり水やりをして甘やかさないほうがいいとも言われていますが、一日でも水を欠かすと翌日には変わり果てた姿になっているので、水をやらざるを得ません。そもそも、ホースを水を撒いたところで、雨には勝てないのですが…地中に滲み込んでいかないというか、人間が小手先で撒いた水なんか、すぐに乾いてしまいます。ホイミしか覚えていないのに、「つうこんのいちげき」を食らい続けるようなもんです。

来年は植える場所をちょっと考えるのと、苗が若い時にしっかりと根を張るような育て方をしないといけないな…と来年への課題になりました。

しおれかけた藍の苗

 

今年の泥藍作り…去年の経験を生かして

8月中旬。去年の同じ時期より遅れること約3週間。これ以上生長を待っていても仕方ないので、一回目の刈り取りをしました。

背丈が足りないですが、これ以上待つと日照りに打ち勝てない気がしたので、収穫に踏み切りました。

ちなみに、畑の大きさは25mプールくらいで、藍と棉を4:6くらいの割合で植えています。畑と言っても、休耕田の草刈りをして耕しただけという、なかなか大それたことをしています。無肥料無農薬でどこまで育つか見たかったので、ただ苗を植えただけの畑ですが、そういう点では結構いい感じに育ってくれているのではないでしょうか。むしろ、ゼロではないにしろ、肥料を与えていた去年より虫食いは少ない気がします。

収穫後の藍。一回目は90Lポリバケツ2.5個分です。去年、実験的に庭先で栽培した時は一回目と二回目を合わせてやっと70Lバケツ1.5個分だったことを考えると、生育は良くないものの、まずまずです。今年はポリバケツを3個買い足しました。これが意外と高いんですよ、90Lで税込み3,000円近くします!バケツを買うだけで1万円かかるなんて考えてもみませんでした。追い打ちをかけるように、なんとフタは別売りというこの上ない衝撃の事実。ビニールで覆ってフタなしで頑張っています。

気温35℃、水温32℃。午前中に収穫して水を入れて仕込むと、翌日にはいい感じで発酵が進んでいます。去年も同じことを思いましたが、やっぱり高菜漬けみたいな発酵臭です。嫌いじゃないけど、住宅密集地でこれをやると間違いなく苦情が来ると思います。

葉を取り出すとこんな感じ。ここに消石灰を入れてひたすら撹拌していきます。

生成したインジゴが、ちょっとずつ泡になって現れてきます。液の色は微妙な緑色から黄色です。まだまだこの石灰の投入量をぴったり感覚でつかみ取るところまではいっていないので、pH測定器を使いながら確認しています。というのも、去年は石灰を必要以上に入れてしまったようで、後に書きますがインジゴだけを取り出して精製する段階がとても大変だったので、今年は慎重にやりました。最初のpHは3.7、最終的には11.9くらいで作業を終了しました。

 

ここまで来ると、高菜漬け臭も藍のいい匂いに変わります。撹拌作業はノンストップ、でも、悲しいかな、太陽の位置が変わり、いつの間にか炎天下作業になっているのに気づいたのはインジゴ生成も終盤に差し掛かるころでした。重いバケツは動かすのも難しいので、作業する場所は選んだほうがいいですね。。。

 

私が泥藍作りで一番難しいと思うところはココ

やっとインジゴができた~と思って藍色になった水を見てうっとりしますが、ここからの作業が私は苦手です。この水の中から、できるだけ純度の高いインジゴを取り出します。

バケツの中の水を放置すると、水に溶けないインジゴはいずれ沈殿していきますので、上澄みを捨ててインジゴを取り出します。簡単にスパっと取り出せるといいのですが、水面がゆらゆらするだけでインジゴは水中を舞い、一番下層の石灰部分も一緒に舞い上がってしまうので、慎重に行わなければいけません。

バケツに水をいっぱいいっぱいに張り、インジゴが完全に沈殿する前に上のほうの水をすくうことで、石灰をできるだけ含まないインジゴを回収することができます。石灰との比重の違いを利用しています。

バケツを傾けることでインジゴを含んだ水を取ることもできるのですが、この方法が私には難しく、去年インジゴを回収してできた泥藍は、実は一緒に石灰も多く回収してしまったようで、染めると微妙にくすんだ藍色になりとてもきれいとは言えない染め上がりだったので、今年は本当に慎重にこの作業を行っているところです。「泥藍がこんなにできたー!!」と喜んで、実は半分近くが石灰分だったという、笑えない泥藍の出来でした。

ポリバケツいっぱいに水を張り、しばらくしたところで上の部分だけを他のバケツに移すことをほぼ毎日、朝夕やっています。労力と水が半端なくいる作業です。水を注ぐたびに、上の二つの状態が行ったり来たりしている感じです。

上澄みは一回捨てるだけという方もいらっしゃるようなのですが、私は泥藍作りを習った師匠の教え通りできるだけ純度の高いインジゴを回収したいので、ここは妥協できないポイントです。

水を注いですぐに水をすくってしまうと、巻き上がった石灰も取ることになるし、あまり時間が経過してしまうと、インジゴははるか彼方の底のほうに落ちていってしまうので、難しいところです。石油ポンプ(赤いところを握りつぶして灯油を入れるあれです(笑))も使いこなすのがなかなか難しく、結局は小型バケツでちまちまとすくい出している次第です。

ちなみにpH高めの上澄み液は、酸性土壌の改良も兼ねて畑に捨てています。

 

明日は早朝から第二弾の収穫と仕込み予定です。本当はもう少し畑に置いておきたかったのですが、あの暑さが思い出せないくらい今度は気温が思ったより下がり過ぎてしまい、これ以上寒くなると発酵が難しくなるのではと懸念し、決行します。恐らく発酵は一日では終わらないと思うので、週末はいい塩梅になるまで見守るつもりです。

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ABOUTこの記事をかいた人

福岡県出身、山口県在住。時々沖縄にふらり。 キッチンや庭でひそかに行うゆるゆる草木染め実験も大好きです。