ミツバチの巣から初めての採蜜!

日本ミツバチを飼い始める

唐突なタイトルでなんのこっちゃですが、実は、今年から庭の一角で日本ミツバチを一群飼い始めました。飼っていると言っても、特にお世話をするわけでもなく、ただ置いている木製の巣箱に居てもらっているだけなのですが…

ずっと前からいつかミツバチを飼いたいとは思っていたのです。しかし、道具を色々揃えるのも大変だしハードルが高いな…と思いながら数年過ぎたあたり、春の散歩の途中に道端の草木の周りをミツバチがぶんぶん飛びながら一心不乱に蜜を集めているのを観察していると、もうどうにも気持ちが抑えきれなくなり、頭のことはミツバチでいっぱいに。。。

一般に、養蜂には西洋ミツバチが飼育されます。在来種である日本ミツバチに比べて蜜の収量も格段に多いので、お仕事のパートナーとして適しているのだと思います。ハウスの受粉のお仕事をしているのも西洋ミツバチです。一方日本ミツバチは、西洋ミツバチと違い特に管理は必要ありませんが、集める蜜の量も少ない上に逃亡癖もあることから、飼うのはなかなか難しいと聞きます。

日本ミツバチは在来種ですので、基本はそこら辺にいる群をスカウトして人間の作った巣箱に取り込みます。時々「ミツバチの大群が都会のど真ん中に~!!」とニュースになることがありますが、あれは「分蜂」と言って、新天地を求めて引っ越しをしている最中の群なのです。春になると、新しい女王が生まれますので、その母親である元々いた女王バチは働きバチの半数を連れて巣を飛び出し、新しい場所に巣を作ろうとするのです。このタイミングを見計らって自分のところの巣箱に住んでもらえるよう、あの手この手を使って誘致し、賃料として少しだけはちみつをいただこうというわけです。

巣箱の中(下から撮影してます)

虫嫌いな方、ごめんなさい(汗) 巣箱の中はこんな感じになってます(下から上を覗いた写真。洞くつの中の鍾乳石のように天井から平たい巣が数枚ぶら下がっています。その巣(巣碑)を下から包み込みようにハチ達はひしめき合っています。このギュウギュウの状態が正常で、もし巣碑が見えるくらいにハチの数が減ってしまうと、ハチノスツヅリガなどの他の虫に乗っ取られ、最悪逃げ出してしまうこともあります。

私も最初このひしめき合い具合を生で見た時はあまりの衝撃にのけ反りそうになりました。しかし女王を中心として、掃除や育児係等の内勤を経て蜜集めなどの外勤へと人事異動があったり、巣門には守衛までいたりと一つの社会が出来上がっている様は、毎日見ていても飽きません。

 

実は数が少なくなっている日本ミツバチ

古代からずっと我々と共に生きてきた日本ミツバチですが、実は今、数が激減しています。

理由は色々。環境の悪化、病気、寄生虫、そして農薬害…詳しくはいつかきっと書こうと思っていますが、私の飼っている群も近くで散布された農薬により被害を受けたことがありました。

基本そこら辺の日本ミツバチをスカウトして連れてくる…なんてことを軽く書きましたが、実際はそうたくさんいるものではないのです。飼う前までは、待っていたらいつか見つかるだろうと思っていたけれど、実際に飛んでいるのは西洋ミツバチばかり。近くのハウス農家で飼われているのかもしれません。今まで私が見かけたミツバチは、なんと全て西洋ミツバチだったようです。

庭のヒマワリに訪花した西洋ミツバチ。日本ミツバチより一回り大きく、黄色みの多い体色です。

私が日本ミツバチを飼おうと決心した時には、すでに分蜂シーズンのピークを過ぎたゴールデンウィーク中で、もしかしたら遅い分蜂群がいるかもしれないけれど、可能性は低い時期に入っていました。それ以前に、こんなに自然に囲まれた場所なのに、庭、草むら、野山…こんなに見つからないものなのか~日本ミツバチ!!

結局のところ誘致作戦は失敗に終わり、5月末、市内で日本ミツバチを飼育されている方に、貴重な一群を譲っていただくことになりました。これが、私の蜂飼いライフのスタートです。「日本ミツバチを飼って、数を増やしたいんです…」という見ず知らずの私のいきなりのお願いを快諾してくださり、飼い方まで教えていただき感謝です。

 

4か月後…ついに採蜜をする


日本ミツバチを飼う際は、こんな感じに「口の字」の木箱を積み上げる「重箱式」もよく用いられています。ハチは一番下の段から出入りし、数枚の巣碑は上からぶら下がっています。

最初は一番上の巣箱にほんの少し巣が作られ始めたばかりでした。巣碑が大きくなり、ハチの数が増える度に巣箱を増やすことになります。蜜源が豊富なのか、ライバルの群が周りにいないのか、想像以上に巣の成長が早く、気づけばこんな感じに積み上がってます。巣碑が4段まで来れば、1段採蜜しても大丈夫…ということも聞いたので、少し涼しくなった9月、ついにはちみつを採ることに決めました。

屋根を開け、中蓋を取り外したところです。営巣して一番最初の段ということもあってか空っぽの部屋も目立ちますが、実際にはちみつが詰まっているところを見るのは初めてなので大興奮でした。ハチを下の方に移動させるためにドライヤーの冷風を上から当てながらの作業でしたが、興奮しすぎたのか、

 

設定が『HOT』になってた (焦)

ハチ
巣落ちさせる気かっ!!

申し訳ないです!熱風を当てて危うく巣落ちさせるところでした。焦ってはいけません。

気を取り直し、いよいよ最上段の切り離しをします。上から垂れ下がる数枚の巣碑を横からスパっと切る感じです。

ハチを巻き込まないようにドライヤーで引き続き冷風を当てたり、巣箱を軽くノックして下に追いやりつつ、巣箱と巣箱の間の隙間にステンレスのスパチュラで切り込みを入れた後、ワイヤーで巣碑を切っていきます。上がその断面図がこれです。想像以上にはちみつがギッシリしていました♪

今年の夏は異常な暑さでしたね。私の住んでいるところは、8月に雨と言えるような雨が降ったのはたったの一回。しかし地面をほんのわずか濡らす程度の雨しか降りませんでした。
連日の気温35度以上の暑さに毎日弱音を吐いていた私とは違い、ハチたちは来る日も来る日も本当に頑張っていました。そしてこんなに貴重な体験をさせてもらいました。今までの人生の中でもかなり高い経験値を得ました。はぐれメタル並みです。

今回のはちみつの収量は4.4kg。集蜜力が5倍とも6倍とも言われている西洋ミツバチに比べてとても少ないです。市場にもほとんど流通しないとか。それだけに余計に有り難さを感じ、大切にいただいていこうと思います。

 

ハチ飼いで得られたもの

ハチを飼い始めて、自分の中で一番変わったことは、今まで興味のなかった周りの生き物(昆虫くらいの小さい者でも)や植物に関心が湧くようになったことです。命がぐるぐる巡り、全ての者が繋がっていることを肌で感じることが多くなりました。

私たちの畑仕事に邪魔になる雑草も、バッタなどに食べられればその存在は大変意味のあるもの。ミツバチを捕食しに来るアブやカマキリなどにも閉口するけど、まぁ多少であれば命の循環の中では仕方のないことではないのか…と私個人的には思っています。(オオスズメバチのように巣を壊滅させるくらいの威力があれば対処します)

そうやって昔から私たちが絶妙なバランスの中で共に生きてきたことを、改めて考えさせてくれる日本みつばちたちです。

一匹の個体が一生かかって集めるはちみつの量は、わずかティースプーン1杯程度と言われています。私たちの農作物の受粉も、彼女たちが担っています。
そのミツバチたちの命が、今、危険にさらされています。そのほとんどが人為的な原因です。このことを無視し続けると、私たちは必ず大変なしっぺ返しを食らうことになるはずです。それはまたの機会に。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

ABOUTこの記事をかいた人

福岡県出身、山口県在住。時々沖縄にふらり。 キッチンや庭でひそかに行うゆるゆる草木染め実験も大好きです。