先月半ばから、沖縄に滞在してきました。毎度のことながら、しばらく家を空けまして家族の皆様にはご迷惑をお掛けしておりました。。。
今回の旅の目的は、やんばるの藍染め師匠の泥藍作りの工程を生で見学させていただくことや、私と同じように綿栽培から服作りにチャレンジしようとしている私よりずっと若いホープとお会いしたりと、自分にとっては重要な内容ばかりでした。最初はゆったりスケジュールでのんびり過ごすはずが、あれやこれやとやっておきたいことができ(これも毎度のこと)、次々に逢いたい人が現れ、最終的にはものすごくタイトな旅でした。
沖縄を出発する日の朝、藍染め師匠の畑の敷地に生えているフクギの葉を大量にいただきました。フクギは言わずと知れた黄色の染めの原料。普通は樹皮が用いられることが多いようなのですが、この新緑の季節の葉で染めると一段と黄色が鮮やかに映えると聞き、本土では貴重な材料をありがたくいただきました。
フクギの葉がたくさん詰まった袋はとりあえずレンタカーの後部座席に乗せ、空港に着く前にどこかでスーツケースの隙間に詰めたらいいかな…と思っていたら、なんとまさかの
全く入らない(((( ゚Д゚)
自分の着替えなんかより、下着なんかより、フクギのほうがよっぽど大事です!!なので、即日必要な最低限度のもの以外、全て段ボールに詰めて道中のコンビニから送りました。スーツケースの容量の90%以上がフクギの生葉で構成されている旅行者もそうそういないはずなので、空港のX線で引っかかって、「これはなんだ??」と詰問され密着24時のような展開になったらどうしようかと冷や冷やしていましたが、意外と何も言われずに安堵しました。
持ち帰って来た大事なフクギの枝葉は水に挿しておき、まとまった時間が出来た時に染めの工程に入ることにしました。
週末、フクギの葉を一枚一枚丁寧に洗い、ゴミなどを取り除きます。長旅の疲れもあっただろう葉の、まだ艶やかな様子を見てホッとしました。
洗った葉は細かくちぎって鍋の中に入れます。最初は丁寧にちぎっていましたが、だんだん面倒くさくなって、最後の方にはそのままの形で投入してしまったのは秘密です。
これに水を入れ、ひたすら煮れば沖縄で実際に見たような、明るい黄色の煮汁が出るはずなのですが…
この通り、どんなに頑張っても濁った煮汁しか出ません。どうしてなのか分かりません。
以前、月桃で染めようとして濃い色が出せなかった時に重曹を入れたことをふと思い出し、もしかしたら同じように色が出てくるのではないかと思い、一さじ投入してみたら…出ました、出ました。
煮汁の色にご注目ください。一瞬茶色の煮汁になってしまったかと思ったくらいです。しかし、てのひらにすくってみると、爪が黄色く染まるくらいしっかりとした色が出ていました。黄色の色素が濃すぎて茶色に見えるのだと思います。
ここで疑問に思うのが、なぜ沖縄の水ではストレートに黄色が抽出できていたのに、ここの水では重曹でpHを上げないと黄色が抽出できないのか、ということなのです。石灰岩との関係も疑ってみましたが、沖縄の水道水のpHが極端に高いとも思えないし、いまだに結論が出ていません。もし科学的に述べられている文献がありましたら読んでみたいと思っています。
媒染剤には、数年前に伊豆大島から取り寄せた椿灰の上澄みを使いました。
草木染めあるあるなのですが、このように染めの途中は布が濡れていることもあり、(あ、結構濃く染まったかな♪)と思っていても、乾くとそうでもないことが多々あるので、実際はどれくらい染まっているのかは乾くまで分からないというところはあります。今回の染めの感じはこちらです。
結構いい感じに染まりました!!素材はオーガニックコットンやリネン、普通の平織や帆布まで、思う存分染めを楽しんでみました。中でも一番きれいに染まったのは、ちょっと起毛したオーガニックコットンでした。(この写真では一番上に乗っている生地です) 起毛している分、色素に接する面積が多いので、より鮮やかな色が再現できるのかもしれません。
一年前くらいに自分で着ようと思って作っていながら、なぜか途中で気分が失速して放置してしまっていた白のフレンチスリーブのブラウスがあったので、今回はこちらも染めてみました。
どちらもリネンなのですが、産地も全く違う布なので、色の入り方も微妙に異なっているのがお分かりでしょうか。面白いですね。
最近草木染めはおろか、大好きなはずの布しごとからどんどん遠ざかる生活で、ミシンの前にすら座れないことにストレスを感じ、モチベーションも下がり気味だった私に力を与えてくれたのがこのフクギ・イエローなのでした。インナーチャイルドの色、第3チャクラの色ですね^^
藍染め師匠、貴重なフクギの葉っぱ、ありがとうございました。楽しい草木染めの時間でした。
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