「ミンサー織」「ミンサー柄」という言葉を耳にしたことがありませんか?沖縄の4つもしくは5つの四角形の模様が交互に繰り返されている柄として知られていることが多いのではないでしょうか
実はミンサーとはこの模様を指す言葉ではありません。「綿が狭い」の意味で、もともとは木綿によって作られた細帯のことを指します。今ではたびたび、この独特の模様であったり、織り方を指す言葉として用いられるようになっているようです。
前述の4つ、5つの四角が交互に繰り返されている模様のみがミンサーというわけではなく、例えば沖縄県本島・読谷村でも異なった模様のミンサーの伝統が受け継がれています。
「八重山ミンサー」は素材が木綿、組織が平織り、生産地が石垣市と竹富町とする織物です。最大の特徴は、五つと四つの絣に「いつ(五つ)の世(四つ)までも、末永く・・・。」という想いが込められていることです。元々は、藍一色の「ミンサーフ(ウ)」という帯であり、これを愛する男性に贈ったものでした。
近年まで竹富島にこの帯としてあったものが今日の「八重山ミンサー」の原型であります。
女性が愛する男性に秘めた想いをこの柄に託したというロマンティックな話が有名ですが、この逸話は最近になってからのものである…という説もあります。
今ではお土産など様々なものにこの模様が使われているのを目にしますが、八重山ミンサーは伝統工芸品の指定を受けており、「八重山ミンサー」と呼称できるものは伝統的な技術や技法によるものとされています。作られる地域なども細かく指定されています。
ちょっと話は堅くなってしまいましたが、この四角が並んでいる模様、純粋に素敵だなと思います。幾何学模様が並んでいる様子に懐かしさを感じると同時にどこかモダンな感じも受けます。
本来のミンサーの意味とは外れてしまい伝統を守っていらっしゃる方に失礼を承知で、琉球藍で染めた生地にこの柄を刺繍し、ワンピースに仕立ててみました。
この柄をいつもの刺繍で表現すると意外に斬新な感じになります。若干目が粗いところもありますが、四角の模様はアウトラインステッチで先に四角を作った後、上からサテンステッチで刺繍をしています。真っ白の糸を使うと浮いてしまうので、少しだけグレイベージュがかった糸を使用しました。琉球藍の深い色と相まって存在感のあるワンピースになりました。
先ほども述べた通り、伝統の柄をアレンジしてこのように作品の中に取り入れていくことは先人に対しても、そして今伝統を受け継がれている方にも失礼にあたらないか…という一抹の想いがあることも正直な気持ちではあるのですが、大好きな沖縄を身近に感じることができて嬉しいというのも私の本音であります。
できることなら沖縄のほっとする空気をいつも肌で感じていたいと思うのですが、離れたところに住んでいるとなかなかそうもいきません。準備が整えば明日にでも行きたいのですが…(笑) 沖縄に行けるのはいつになるだろう…と琉球藍で染めた布を撫でながら想いを馳せるのです。