天然素材で草木染めの際に布をより濃く染める古来からの方法を実践したいと思います。
染料はタンパク質に吸着しやすいため、絹やウールなどと比べると、植物繊維は染まり方が弱くなります。そこで、植物繊維に対して草木染めをする時、布を濃く染める方法として「豆汁(ごじる)」を使う方法があります。あらかじめ人工的にたんぱく質を付着させてしまおうという、古来からの方法です。
豆汁…ふやかした豆をすりつぶして濾した絞り汁を使う、というのが本来のやり方ですが、豆乳でもできます。やったことはありませんが、牛乳でも代用できるようですよ。
一晩ふやかした大豆に水を加えながら滑らかになるまで潰します。最終的にクリームのようになりますがちょっと青臭く、手に臭いがつく感じもしますが、それは気になるほどではないです。
ふやかした大豆100gに対して、水を1L、いや5L…と本によって濃度はまちまちなのですが、私はかなり濃度を薄く調整することにしました。なぜなら…
濃すぎると染めた後、臭いから!
去る夏の日、ハーブで布を濃く染めるため、無調整豆乳を薄めず、そして脱水もせずに濃染処理に使ったところ、染め上がった布がとんでもなく嫌な臭気を放ちました。まるで「酸化した天ぷら油」のような臭い…何回も洗剤で布を洗い、臭くなくなったと思いきや、乾くとまた悪夢のような臭気が復活してくるという惨事に見舞われました。その布を使って服を作るとかそういう次元ではなくなり、泣く泣くその布は廃棄しました。
そして今回、月桃の葉で濃染の予備実験をした結果がこちらです。
左から無媒染、無調整豆乳(2倍希釈)、豆汁(4倍希釈)
媒染は椿灰(pH10~11)
臭いは…かすかに臭う気はするけど、前回の惨劇よりは格段によし!そして、濃染処理を行うと濃く染まることが確認できました。でも茶色っぽくなってしまったような…。
ついでに、茶色っぽく染まった布を梅酢(梅干しを作った時にとっておいた液)を希釈したものに浸漬すると、ピンク色復活!
逆に、アルカリ性の消石灰を溶かした水だと黄変します。月桃からピンク色を抽出しようとする時、アルカリ性だとどうもダメな気がします。
今回の予備評価のまとめは、
・濃染処理をする時は、濃度を薄くした豆汁に浸漬し、脱水はしっかり行うこと。
・月桃をピンク色に染める際は、アルカリ性ではよろしくないっぽい。
の二点です。
今日は朝から大豆をゴリゴリ、ばっちり低濃度で処理中です。