自分の着ている服は、どこからやってきたのだろう…

食材を買う時はこんなに産地を気にするのに、服を買う時は、この布がどこからやって来たのか、誰が作ったのかということは、さほど気にしていませんでした。

安価な服が劣悪な労働条件を強いられた労働者の手により作られていることを知り、大変なショックを受けた時のことは、今でもはっきり覚えています。…かと言って、今着ている服を全部捨てて、全て高価で安全と思われる服に変えよう、と言っても無理な話ですし、私にはそこまで徹底するにはいろんな意味で余裕がありません。

しかし、同時に、「原料から糸が作られて、色が加えられて、布になって、服という形になって…」という一連の流れに非常に興味を持つようになりました。どうやって糸は作られるのかな?服になるまでにはどんなに大変なことがあるのかな?まるで小学生の自由研究のような発想なのですが、こんな単純なことが、私の布仕事の原点でした。

 

私のこと

食べるための本業の傍ら、このINDIGO DROPSの活動をしています(活動と言っても一人ですが…)。

実は、私は数年前までミシンすら使えませんでした。母のお古のミシンをもらったことを機に何か縫ってみようかな…という気になり、息子の小学校の家庭科の教科書を参考にしつつ糸通しの順番から覚えた次第です。嘘のような本当の話です(笑)
それでも、人並みに布仕事が出来るようになったのは、裁縫を生業としていた祖母から受け継いだ血なのかもしれません。

服飾やデザイン関係の学校に通ったことがないので、そのような経歴をお持ちのハンドメイド作家さんを羨ましくも思い、素敵なお仕事をされているのを目の当たりにすると、正直私のような者がものづくりをしていても大丈夫なのか!と自分で突っ込みたくもなるのですが、成長の過程を見守ってくださると幸いです。

チェコ・プラハにて

 

藍染めとの出逢いがきっかけで

服の成り立ちとは全く無縁の私でしたが、沖縄で琉球藍と出逢い、自分の中の流れが一気に変わりました。自然のものに人が手を加え、その良さを引き出すという仕事を実際に目にすると、自分もやってみたいという気持ちが一層強くなりました。

不思議なことですが、この流れに乗ってから周囲には自然と関わって生活をしている方が集まり、お知り合いになる機会がどんどん増えてきたように思います。無農薬で農業を営まれている方、昔ながらの製法を守りながら食品を作られている方、またそのような商品の流通に携わっている方…それぞれが違う方面で活躍されていますが、皆さんに共通して言えることは、ずっと自然のそばにいたいという想いだと感じます。

私も例外ではなく、少し前まではこの田舎暮らしの中に自分の居場所がないと思うことも多々ありましたが、今は、自由に使える畑や草木があり、それを色に変え、形に変えられる可能性があるなら、思い切り楽しんでみようと思うようになりました。

今年、自分で収穫した藍で。

 

INDIGO DROPSの作品について

本業の傍ら、ゆっくりペースで布しごとをしています。一人でやっていることなので量産はできませんが、「こういうのを作りたい!」と思った時に、思うままに作ることが多いです。

  • 素材にこだわって

リネンやコットンが主です。個人で活動をしていますので、自分で卸から購入して…というのはなかなか難しいですが、原料を加工する工程から公開されていて信頼を寄せている布屋さんから購入することが多いです。少々お値段が張るのが正直なところなのですが、自分の納得のいく素材のみを使用することにしています。紐やボタンの素材にもこだわっています。

  • できるだけ安全な方法で

草木染めを行う際にほとんど使用する媒染剤は、できるだけ環境に配慮したものを使うことを鉄則としています。本当は鮮やかな色を出すために使いたい媒染剤もあるのが本音です。しかし、環境に配慮しつつ、自分のできる範囲で思い描いた色にどうにか近づくように工夫しながら楽しむのもハンドメイドの良いところだと考えますし、安全に出せた色だけの組み合わせを考えるのも、布しごとをする上での腕の見せどころかもしれません。

白いポーランドリネンを様々な草木で染めて…

 

今から挑戦したいこと

私は、今やっているようなハンドメイドの活動からも学びつつ、棉(わた)から糸へ、糸から布へ、そして形になるまでの一連の流れに携われるような布しごと人になりたいと思っています。
草木から色を出し、布に移す。布を形にして日常生活の中に溶け込ませる。
昔は当たり前に行われていたことだけれど、この大量消費の風潮で失われつつある大切なことを立ち止まって考えながらものづくりができたらいいなと考えています。

このブログには、これらの過程や面白さを書き綴っていこうと思っています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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